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大阪高等裁判所 昭和42年(ネ)144号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、控訴会社代理人

原判決を取り消す。

被控訴人の請求を棄却する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二、被控訴人

主文同旨

第二、当事者の事実上の主張、証拠の提出・援用・認否

次に記載するほかは、原判決の事実摘示と同一であるから、ここに引用する。

(事実関係)

一、控訴会社代理人

(一) 控訴会社が訴外神戸ブルトーザ建設株式会社(以下破産会社と略称)に融資する際、この貸金債権の担保として、破産会社の訴外京阪神急行電鉄株式会社(以下阪急と略称)に対する工事請負代金債権について、控訴会社、破産会社、阪急間に締結した契約(以下本件契約と略称)は、債権質権設定契約である。仮にそうでないとしても、信託的債権譲渡契約である。すなわち、

(1) 本件契約は前述のとおり、債権担保の目的のためにされたもので、破産会社と控訴会社の双方の合意がないと解約できないところからして、単なる委任契約ではないし、工事請負代金は、控訴会社だけが受領でき、破産会社はその受領の申出でをしないことを約束し、阪急は、昭和三八年一〇月一四日異議なくこれを承認した。このことは、とりもなおさず、債権質権の拘束力を肯認したことに帰するわけである。控訴会社は、本件契約についての委任状に同年一二月一三日確定日付をうることによって民法三六四条の対抗要件を具備したばかりか、本件契約締結と同時に、工事請負契約書の交付をえた。これは、民法三六三条の要物契約性を満したものである。

以上のことからして、本件契約は、債権質権設定契約と解するのが正当である。

(2) みぎ阪急の承認の事実は、控訴会社に工事請負代金を代理受領する権限を付与したにとどまるとするべきではない。もしそれだけにとどまるならば、控訴会社としては、阪急のそのような承認をうる必要はなかった。控訴会社の債権担保のため、工業請負代金を代理受領することを阪急が承認するということの狙いは、阪急が債権質権の拘束力を承認するところにある。このように解するのが、本件契約をした当事者の意思に合致する。みぎに述べた工事請負契約書の交付は、質権設定契約の要物契約性という特徴的な事実の表現であり、確定日付の存在は、債権質権の対抗要件という特徴的な事実の表現であって、これらの事実を無視して本件契約は解釈されるべきではない。

(3) このような債権質権を設定するについて、そのとおりの文言を用いた契約書を作成しなかったことは認めるが、それは、控訴会社に備付の書式がなかったまでである。

(4) 仮に、本件契約が債権質権設定契約でないとしても、本件契約が控訴会社の債権担保の目的でされ、工事請負代金は控訴会社だけが受領することができ(債権の移転)、阪急がこれを異議なく承諾し、確定日付があること(債権譲渡の対抗要件の具備)からして、本件契約は、担保のためにする債権の信託的譲渡である。阪急は、本件契約にもとづき、控訴会社に対し、昭和三八年一一月分および同年一二月分の右工事請負代金を支払った事実を参酌すべきである。

(5) 国鉄では代理受領が制度化され、代理受領の委任状の承認文言が、昭和三七年一二月から「右の件承認する」というのが、「上記の受領委任を承認する。なお受領委任の承認は債権譲渡を認めたものではない」というのに変わった。このことから本件のようにただ承認するとだけ記載のある場合は、債権譲渡を承認したと見る余地がある。

(二) 控訴会社は本件工事請負代金の取立てについて、差押転付という債権に対する強制執行の形式でしたが、これは、一見して債権質権設定あるいは、債権譲渡を認めるに足りる書面がないため、便宜公正証書を債務名義として利用したにすぎない。

阪急は、昭和三九年一月分の工事請負代金の支払いについて、破産会社が工事竣工期限を経過したばかりか、正当の理由なく工事を休止したため、阪急が被った違約損害金で相殺勘定すると、残債務は存在しないと主張した。そこで、控訴会社は阪急と折衝の結果、本件転付金額で最終支払いとすること、この請求手続は、差押転付の方法によることを内容とする示談が成立し、この示談どおり控訴会社は差押転付の手続をとった。

(三) 工事請負契約の締結と同時に、注文者の報酬支払債務は発生するが、その弁済期は、民法六三三条の規定や特約によって定まる。したがって、契約締結時に、弁済期が不確定なことがありうる。しかし、債権が成立する可能性のあるかぎり、質権設定、債権譲渡は有効であり、仕事完成前の報酬請求権の差押転付は適法である。

(四) 本件工事請負代金受領のため、破産会社は、控訴会社にその委任をしたのであって、控訴会社の本店営業部長である訴外中溝幸一個人にしたものではない。

二、被控訴人

(一) 控訴会社は、工事請負代金の代理受領権限の委任契約にすぎない本件契約を目して、債権質権設定契約であると主張しているが、それは誤りである。

(1) 本件契約は、控訴会社と破産会社の合意がなければ解約できないから、単なる委任契約でないというが、これは、委任契約上の特約条項の一つにすぎない。

(2) 阪急が、本件契約を承認したことを重視しているが、阪急が、なにを、どの程度承認したのか不明である点からして、阪急には、どの程度の拘束力を及ぼしうるのか疑問である。

これによって、債権質権設定契約が成立したというのなら、より明確な書式と文言を用いて、このことを明確にしなかったわけが問われなければならない。

控訴会社は、本件契約締結の際、債権質権を設定する意図はなく、単に代理受領権限の委任契約を締結する意思があったにすぎない。本件の委任状(乙第二号証)には、受任者として、控訴会社の表示はなく、本店営業部長中溝幸一とある。このことは、阪急が代理人として法人を嫌ったため、仕方なく中溝幸一個人を表示したと考えられる。

(3) みぎ委任状に確定日付があることは、本件で、なんら重要性はない。

(4) 工事請負契約書の交付が、質権設定契約の要物性を満すものではない。工事請負契約書だけでは、対象となった債権は未発生であることに想到すべきである。

(5) 代理受領をもって、「注文者(阪急)の承認によって三者間に成立する実質上債権質権に類似する無名契約」と解しえても、これが、直ちに債権質権の効力を取得するものではない。

(二) 本件契約は、信託的債権譲渡を契約したものでもない。

本件契約によって、控訴会社が工事請負代金を受領する権限を受任されたから、工事請負代金を受領することができたのであって、これは、債権譲渡とは別問題である。

阪急の承認の文言も、債権移転の承認の趣旨まで含まれておらない。

(三) 控訴会社は、工事請負代金について、なんらの優先権や権利移転がないからこそ、差押転付という通常の債権に対する強制執行の方法を執ったものである。

三、原判決の訂正

原判決三枚表一行目に、「便宜的に前記債務名義を利用した」とあるのを、「便宜的に、神戸地方法務局所属公証人作成の公正証書の執行力ある債務名義を利用した」と訂正。

(証拠関係)≪省略≫

理由

一、破産会社は昭和三九年一月二一日総額約金八〇〇万円の不渡手形を出したこと、破産会社は同年一〇月一二日神戸地方裁判所で破産宣告をうけ、同日その破産管財人として被控訴人が選任されたこと、控訴会社は、同年二月一八日同裁判所に対し、破産会社が阪急に対して有していた工事請負代金五七八万円のうち金三六八万一、八八七円について、債権差押および転付の申請をし、その命令をえて同月二九日阪急から、同額の金員を受領したこと、以上の事実は当事者間に争いがない。

二、(一)、みぎ争いのない事実や、≪証拠省略≫を総合すると、次のことが認められこの認定に反する証拠はない。

控訴会社は昭和三九年一月ころ、破産会社に対し、金一、七九〇万円もの債権を有していたが、破産会社は、同月二一日不渡手形を出したため取引停止処分になった。神戸手形交換所は、同月二七日控訴会社にみぎ破産会社の取引停止処分の事実を通知したので、控訴会社はそのころこのことを諒知した。そうして、控訴会社は、このことを承知のうえで、前記債権差押転付の手続をとり、該命令をえて阪急から、前記金員を受領した。したがって、控訴会社は、破産会社の支払停止の事実を知りながら、破産会社の阪急に対する債権を取得することにより、自己の破産会社に対する債権を弁済により消滅させたわけである。

(二) このように、債権者である控訴会社が、強制執行の方法で、破産会社の阪急に対する債権を取得することにより、破産会社から弁済をえた場合も、破産法七二条二号の「破産者が債務の消滅に関する行為」をした場合に該ると解するのが相当である(同法七五条参照)から、控訴会社のみぎ執行行為は、破産管財人である被控訴人によって、同法七二条二号七五条にもとづき否認されるとしなければならない。そうして、みぎのとおり否認権が行使された以上、破産者の債権を原状に復するため、本来は控訴会社に対し債権そのものを破産者に返還すべきことを訴求すべきであるが、それがすでに控訴会社に弁済され消滅した本件では、利得の償還を求める外はない。

以上の次第で、破産管財人は、控訴会社に対し、みぎ受領金額の全額と、その受領の日の翌日から年六分の割合による遅延損害金を請求することができるとしなければならない(大判昭和八年六月二二日民集一二巻一六二七頁参照)。

三、そこで、控訴会社主張の抗弁について判断する。

(一)  債権質権の設定と信託的債権譲渡について

(1)  ≪証拠省略≫を総合すると次のことが認められ、この認定の妨げとなる証拠はない。

(イ) 破産会社は、昭和三八年五月八日阪急から宅地造成土木工事を、金四、六〇〇万円で請負った。この工事請負代金の支払い方法は、毎月出来高払いの約束で、この工事請負代金債権を、阪急の承諾なしには、名称の如何を問わず第三者に委任もしくは譲渡し、又は他の権利の目的に供してはならないという特約をした(工事請負契約書(乙第三号証の二)一七条二四条)。そうして、同契約書の謄本が破産会社に交付された。

(ロ) 破産会社と、その債権者である控訴会社との間で、昭和三八年一〇月ころ、みぎ破産会社の工事請負代金債権のうち、同月一六日以後の工事出来高分金二、八〇〇万円についての受領を、控訴会社に委任する旨の契約が成立し、そのことを明らかにするため委任状(乙第二号証)が作成された。この契約には、控訴会社は、その本店営業部長である訴外中溝幸一が当ったが、同人は、当時取締役兼支配人の地位にあったから、同人は、控訴会社を代理する権限を有するものであった。

(ハ) この委任状には、破産会社と控訴会社双方の合意がないかぎり委任を解除することができないし、破産会社は一切阪急に受領の申出でをしないとの特約条項が附記されている。

(ニ) この委任状の末尾に、「昭和三八年一〇月一四日右承認致します。大阪市北区角田町四一番地京阪神急行電鉄株式会社取締役社長小林米三」と記載されている。このことは、前記工事請負契約書二四条にいう、工事請負代金受領を委任することの阪急の承諾に該る。

(ホ) 控訴会社は、昭和三八年一二月一三日、この委任状に同日付の確定日付をえた。

(ヘ) 控訴会社は、この委任により、阪急から、昭和三八年一〇月一六日から一一月一五日までの分金二〇〇万円、同年一一月一六日から同年一二月一五日までの分金五一〇万円合計金七一〇万円を直接受け取った。ところが、昭和三九年一月に入って破産会社は工事を中止したため、阪急は前記以後の支払いについて難色を示し、控訴会社と阪急との話合いの結果、阪急は、金五七八万円のうち約金三六〇万円の工事請負代金の残高があることを認めることにしたが、他に債権者があるので控訴会社が強制執行の方法でこれを取り立てることになった。

そこで、控訴会社は、昭和三九年二月六日破産会社との間で、さきに作成した金二、五〇〇万円の貸付債権についての公正証書正本の交付を受け、これを債務名義として本件債権差押転付の手続をとった。

(ト) なお、破産会社の手許にあった工事請負契約書の謄本は、前記委任の際控訴会社に交付された(この項は弁論の全趣旨によって認める)。

(チ) 控訴会社は、破産会社に対する貸付債権の担保としては、前記破産会社の阪急に対する工事請負代金の受領の委任をえたほかは、何もなかったし、この委任を受けるために、前記委任状が作成されたほかに、債権質権設定契約証書あるいは債権譲渡契約証書といった証書は作成されなかった。

(2)  工事請負などについて、注文者が代金の前払いをしない場合特に代金債権が譲渡、質入などを禁止している場合には、他に担保のない請負人に対する融資にあたり、融資者は、その貸金債権担保のため、請負人との間で、請負人の注文者に対する工事請負代金受領の権限を委任する旨の委任契約を締結し、この契約には、融資者と請負人の合意がなければ解除することができず、融資者だけがこの代金を受領する旨の特約をし、この委任状について、注文者がこれを承認する旨の奥書を記載する三者(注文者、請負人、融資者)間のいわゆる代理受領契約を締結することがある。

本件も、この例にもれるものでないことは前に認定した点から明らかである。

さて、みぎの代理受領契約の性質を、法律上どのように解すべきか、その効力はどのようなものであるかについて、当裁判所の見解は次のとおりである。

代理受領契約は、融資者の債権担保のためになされる点に着目すると、債権質権の設定そのものではないが債権質権類似の効力の発生を狙った三者間の無名契約でありこれによって、請負人は注文者に対し代金の請求ができず、注文者は、融資者に対してだけ代金を支払う義務が生じるが、代金受領の本質は取立委任であるから、注文者は、請負人に対して有する抗弁は融資者に対しても失なわないし、請負人に対し代金支払いを拒否する事由があれば、融資者に対しこの支払いを拒否できる効力があると解するのが相当である。このことは、たとえ注文者が取立委任を異議なく承諾しても同様であって、この点で質権設定や債権譲渡に対する承諾(民法三六四条一項、四六七条一項)とは区別されるのである。質権設定や債権譲渡に対する承諾であることがうかがえない委任状(乙第二号証)の奥書の記載をもって、直ちにこの意味での承諾と解することは、承諾者に不測の拘束と損失を招く結果となり適切でない。

控訴会社は、みぎ代理受領を目して、債権質権の設定あるいは、信託的債権譲渡があったと主張しているが、代理受領は、法律上取立委任であるほか、さらに、主張のような法的性質のある契約であるということはできないし、本件で、控訴会社と破産会社との間で、債権質権設定契約や、信託的債権譲渡契約が、みぎ代理受領のほかになされたわけでもないことは前に認定したとおりである。

(3)  この点について、控訴会社は、代理受領が債権質権設定である理由を挙げているので考究する。

(イ) 控訴会社は、阪急が承認したことをとらえて、これは阪急が債権質権の拘束力をうけることを承認したものであるというが、阪急が主張のような意味で承認したことが肯認できる証拠がないばかりか、前に認定した事実からすると、控訴会社の取立委任を承諾したにすぎないことは明らかである。

(ロ) 控訴会社は、破産会社が阪急との工事請負契約書を控訴会社に交付したことをとらえて、これは債権質権の要物性を充足するものであるというが、民法三六三条の趣旨は、債権の入質について債権証書があれば、これを質権者に交付することによって、質権を公示し、債務者は債権の行使ができないことを通じて弁済の間接強制をはかることにあるから、ここにいう債権証書は、この趣旨にそう預金証書、預金通帳、保険証券、借用証書など債権者の所有に属し債務者が弁済したときは民法四八七条により返還請求の対象となりうべき債権の成立を証する書面を指称し、工事請負代金の受領に工事請負契約書を必要とするわけでないこの種契約書は、同法三六三条の債権証書に該当しないと解するのが相当である。したがって、破産会社が、控訴会社に工事請負契約書を交付したことだけから、直ちに同条の要物性を充足したものとすることはできない。

(ハ) 控訴会社は、委任状に確定日付があることをとらえて、これは債権質権の対抗要件を具備するものであるというが、債権質権者が第三者に対抗するための要件としては、質権設定者の債務者(本件では阪急)に対する質権設定の通知または、その承諾が確定日付のある証書でされることをいう(民法三六四条)のであって、本件で、委任状(乙第二号証)に確定日付のあることはさきに認定したとおりであるが、みぎ委任状の末尾記載の阪急の承認は、取立委任を承諾したものにすぎず、到底これを質権設定の承諾とは解しえないことは前示のとおりであるから、控訴会社のこの理由は失当である。

(4)  控訴会社は、代理受領が信託的債権譲渡である理由を挙げているので考究する。

(イ) 破産会社の工事請負代金は、控訴会社だけが受領できることをとらえて、みぎ代金債権が破産会社から控訴会社に移転したものであるというが、本件の代理受領契約は、控訴会社にみぎ代金の取立てを委任しただけであって、代金債権を譲渡したものでないことは、前に認定した事実関係からして明らかである。

(ロ) 控訴会社は、阪急が前述のとおり承認したことと、確定日付のあることをとらえて、控訴会社に対する債権譲渡の対抗要件を具備したものであるというが、この前提となる債権譲渡がない本件では、前記委任状に承認や確定日付のあることから、債権譲渡を逆に推認することはできない。

(ハ) 控訴会社は、阪急が昭和三八年一一月分および同年一二月分の工事請負代金を控訴会社に支払ったことをとらえて、債権譲渡契約が成立したものであるというが、前に認定したとおり、代理受領契約によって、阪急が控訴会社にこれらを支払ったのであって、控訴会社に債権譲渡があったからではない。したがって、これは採るに足らない理由である。

(ニ) 控訴会社は、国鉄の場合の承認の文言を云云しているが、国鉄の工事請負契約の文言がそのようなものであることの証拠はどこにもないし、仮にそうであるとしても、そのことから、控訴会社が主張するような解釈が当然導き出されるわけのものでもない。

(5)  以上説示したとおり、本件代理受領は、債権質権を設定したものでもなければ、信託的債権譲渡を契約したものでもないから、控訴会社は、破産会社の阪急に対する本件工事請負代金の債権質権者であるとか、債権者であることを理由に、これを被控訴人に主張することは失当であり、控訴会社のこの抗弁は採用に由ない。

(二)  控訴会社は、阪急と控訴会社との示談によって、本件の金員が阪急から支払われたのであり、これは破産会社が当然請求できるものではない。したがって、被控訴人によってみぎ執行行為の受領が否認されても、この金員は被控訴人に支払うべきではないと主張しているが、さきに認定した事実関係からすると、この金員は、代金受領の委任をうけた控訴会社と阪急との間で、工事請負代金の支払額について話し合った結果、工事請負代金の残額全部として支払われたもので、示談金その他工事請負代金とは別個の性質を有する金員として支払われたものではないから、控訴会社のこの主張は採用に由ない。

四、そうすると、控訴会社は、被控訴人に対し、破産法七二条二号によって前記執行行為が否認されたため、さきに阪急から受領した金三六八万一、八八七円とこれに対する受領の後である本件訴状が控訴会社に送達された日の翌日であることが本件記録上明らかな昭和四〇年七月二七日からみぎ支払いずみまで、商法所定の年六分の割合による遅延損害金を支払わなければならない筋合であるから、これを肯認した原判決は正当であり、本件控訴は失当として棄却を免れない。

そこで民訴法三八四条八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長判事 宅間達彦 判事 長瀬清澄 古崎慶長)

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